愛結の隣に悠ちゃん
「あ、お前同じクラスの三次やん!」
修がにっと笑いながら軽々と時計台から降りる。
「俺ら同じクラスなんやでえ。覚えとるかー?」
へらりと笑いながら軽い口調で友里亜に言う。
友里亜はきょとんとした。
友里亜の目の前にいるのは修ただ一人だというのに“ら”という単語に引っ掛かったのだ。
「おーい、良介!三次がおるでぇ!」
「知っとるわ……なんやねん、さっきからうるさいなあ……」
対照的とも言える二人。
染めたことのない真っ黒な髪をしている忍足と明るい髪をした財前。
眼鏡をかけてきっちりと制服を着こなしている優等生っぽい忍足と制服を着崩したちゃらちゃらしたように見える財前。
ほんと、全然違う人に見える。
でも、仲が良さそうな姿に友里亜は内心羨ましいと思った。
「なあなあ、三次。なんでお前クラスに馴染もうとせんのや!話しかけても素っ気ないし、クラスにはええ奴ばっかりやろ!」
にっと無邪気な笑みを浮かべながら言う財前にはぁ、と友里亜が明らかにため息を吐けば、財前はきょとんとし、忍足は何を思ったか大体予測し顔を手で押さえて苦笑いをする。
「あぁ、そうね」
友里亜がテキトーに言えば、財前がむすっとして友里亜の前に一歩出る。
「なんやほれ!そない無愛想やったら、連れや絶対できへんぞ!」
「いいよ、別に。女の子とは仲良くなれないし、かといって男の子と仲良くなったら悪口だもん、めんどくさいって」
ふいっと顔をそらして不満そうに言う。
「なんやねん、このひねくれ者!」
「うるさい!このアホ丸出し!」
お互い負けじと言い返す。
お互いの第一印象は最悪であった。