愛結の隣に悠ちゃん
その日以降、友里亜と財前は顔を見合わせるたび毎回喧嘩をしていた。
ほぼ、財前が喧嘩をふっかけている。
「おいこら、三次。お前邪魔やねん」
席に座っていて物を取ろうと椅子を引いたときを見計らって財前と忍足がちょうどトイレに行こうとし友里亜の前で立ち止まる。
「え、なに。ちょっと待ってよ」
「トロイ、はよせい」
友里亜が引目に言えば、財前が軽く舌打ちをして不満げに呟けば、友里亜もプチんと自分の中の何かが切れる。
「え、何。少しの時間も待てないなんて……小さい子どもでも待てるんじゃない?」
友里亜が言い返せば、財前が友里亜の前に出て眉間にしわを寄せた顔を近づけてまた舌打ちをする。
「あ?喧嘩売っとんか!」
財前が怒鳴りぎみに友里亜に言えば、クラスの全員がざわつき始め二人を見始める。
「お、おい……修……」
「なんやねん、良介は黙っとれや!」
苛立ちは増し、お互いがお互いを睨み合っている。
「はぁいはい。ストップストップゥ。喧嘩しちゃだめだよぉ」
二人の間に手をいれて止めに入ったのはスカートを極限まで短くし茶色っぽい髪を緩く巻いたぷるんっとした唇が恐らく男子を誘うであろう所謂、ぶりっ子に属性する女子生徒。
「ちっ…日菜に免じて許したるわ」
それだけ言えば友里亜の椅子を軽く蹴ってその場を立ち去る二人。
「大丈夫?三次さん?」
にこりと笑う日菜に愛想笑いにしては下手すぎるひきつった笑顔を見せる。
「ふふっ、気を付けないと」
日菜がにこりと笑いその場をおさめた。
その様子を見て友里亜はこの子なら、友達になれるかもしれないと思い話しかけようと口を開けた。