愛結の隣に悠ちゃん
神様の条件
「ほんとに、一人で行けるか?」
四つ目の神社は低い山の頂上にある。
階段が入り組んでいて本来なら100段ほど上れば頂上に到着しそうだが、この階段は倍以上ある。
山の麓へやって来て悠人が不安そうに尋ねる。
三つ目の神社の神に言われたように悠人とは一緒に神社にはいかないと決めたのだ。しかし、悠人は愛結のことが心配で最後、階段を上る手前まで愛結に尋ねた。
「大丈夫っ、一人でできるもんっ。悠ちゃん、行ってきます」
にこりと微笑みながら悠人を一人階段から少し離れた憩いの場に残してまっすぐと一人で進み出す。
いつまでも、悠人に甘えているわけにはいかないという愛結のなかで自立しようという想いがこの神社巡りで強くなったのである。
「助けてほしくなったら……いつでも呼べ!絶対隣にいる!」
真剣な眼差しで愛結に告げれば、くすくすと笑い出す愛結。
「もうっ、いい加減信じてよっ。……大丈夫、悠ちゃんに心配かけないようにちゃーんと帰ってくるし寂しいって思うくらい一人でいさせてあげるからっ!」
階段を上り、離れた少し高い位置から悠人に言えば、それ以降は振り返ることもなくただ前を向いて駆け足で階段を上った。
「……少しは、愛結から離れて信頼しねぇとな……」
寂しいな、と思いながら独り言を呟きふぅ、とため息を吐く。
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「ふふっ、悠ちゃんってば心配しすぎ……」
くすくすと笑いながら愛結が階段をかける。
もう既に半分まで来た愛結。
ペースを落とすことなく頂上まで来れば、頂上にある神社ということで愛結のなかでは小さな神社をイメージしていたが、頂上一面には大きな神社とそれを囲む土地があった。
「わ、おっき……」
自然と口を開いて言えば、その神社に吸い込まれるように足を踏み入れる。
同時に頭のなかに言葉が入ってくる。