愛結の隣に悠ちゃん

初めての友達 ―出会い―



友達って、どうやったら出来るの。
仮卒業の期間が半分過ぎ、愛結は焦っていた。
しかし、行動に移すことはなかった。

「愛結……」

神社巡りをした数日後に悠人には愛結が体験したことを話したため、悠人は愛結に自分の記憶を消されても構わないと話しているが、愛結はそれをしなかった。

それは、あくまで最終手段だと考えているから。

「……気分を変えるために散歩でも行こう」

悠人が愛結に提案すると、あまり乗り気ではないが愛結がこくんと頷いた。

階段を降りて玄関に向かい靴を履く。

「あら、愛結。どこにいくの?」

「散歩っ。悠ちゃんと一緒だから大丈夫だよっ」

にこりと笑いながら母に伝える。
母は愛結が悠人がいると言うことにたいしてなにも言わなくなり、頷いて肯定するような態度をしていた。

「いってきますっ」

元気よくにこりと笑いながら母に言えば、母はゆっくりと手を振り愛結を送り出した。

そして、愛結と悠人は仲良く手を繋ぎながら歩いた。

行き先は決まっていない。
どこにいくかもお互いに聞かない。ただ、二人で行くままに歩いていたのだ。

「……なにも変わらないね」

愛結が辺りを見渡しながら幼少時代からなにも変わらない風景を見て呟いた。

それに対して悠人が首肯する。

「おい、お前ー。お前はここ通っちゃだめなんだぞー」

愛結と悠人が声の聞こえる方を見れば中学生くらいの男の子数人が一人の女の子を囲んでいた。

女の子は綺麗な顔立ちをしていて、目を奪われるほどであった。
彼女はただきょとんとしている。

無視しているようにも見えるが彼女は無視をしているのではないと悠人が気づき、悠人は愛結の手を強く握った。

しかし、その手わ握り返すことはなく愛結は中学生らの中へ向かった。



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