愛結の隣に悠ちゃん

初めての友達 ―神社にいく途中―



愛結と花が仲良くなるのに時間は全くかからなかった。

そして、二週間後……仮卒業の三日前、愛結は花を誘って神社巡りにいくことにした。

今回は悠人も一緒に神社巡りに来ている。

「花ちゃんは体力あるんだなあ」

悠人が花の頭に言葉を送って会話を三人でするようになった。
メールの画面に文字を打たなくてよくなったのは手軽だが、二人が楽しそうにしているのを見ると愛結の心の中にはもやもやしていた。

「……」

自然に愛結が会話にはいれなくなる。
二人から目を離して階段を上っている途中、目をそらすと階段からそれた小道に立つ赤い服を着た小さな女の子に目を奪われ、先導する二人からこっそり離れると小道に逸れた。




「……愛結?」

しばらくして愛結に話をふった悠人が愛結がいないことに気付いて顔を真っ青にする。

「愛結っ!愛結!」

辺りを見渡して悠人が叫ぶ。
頭の中には嫌なことばかり思い浮かぶ。

『悠人くんっ……』

花が悠人の頭の中に言葉を送る。
一度振り返るが、その表情を見て花は話そうとするのをやめる。
そして、首を横に振る。

『早く、愛結ちゃん探そう』

そう言えば悠人と共に来た道を引き返す。

「愛結っ……愛結!」

必死に辺りを見渡して愛結を何度も呼ぶ。
しかし、愛結の返事はなく頭を抱えてしゃがみこむ。

『た、すけてっ……悠ちゃんっ……』

消えてしまいそうなほど微かな声で言った言葉を悠人が拾う。

「愛結っ!どこ……どこだっ!」

辺りを見渡してだんだん声が近くなるのがわかるとペースを落として何一つとして見落とさないようにする。

「悠ちゃんっ……」

しばらく歩き続ければそこにいたのは怯えきって頭を抱えている愛結。
きょとんとしながら愛結にゆっくりと近づいてにこりと笑う。



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