愛結の隣に悠ちゃん
初めての友達 ―神様とほんとのこと―
「悠ちゃん……?」
ゆっくりと話されれば、落ち着きを取り戻し抵抗していた手を悠人の背中に回す。
「悠ちゃんっ……ごめんね、痛かったよね……?」
涙目になりながら悠人を見つめて尋ねる。
しかし、悠人は首を横に振りにこりと愛結に笑って見せる。
「大丈夫……愛結は平気?もう、怖くない?」
にこりと優しい笑みを崩すことなく尋ねる。
その問いにこくんと首肯する。
「じゃ、行こっか」
ふにゃりと笑い愛結の手を優しく握ると抜けてきた小道を戻り階段へ戻る。
「愛結、ペースには気をつけてね、転ばないようにちゃんと歩いてね」
悠人が過保護に言いながら階段を上る。
声が聞こえない花にとっては怖さしかない。
先程まで耐えることなく飛び交っていた悠人の言葉はもう花には届かない。
“花ちゃん、大丈夫?疲れてない?”とメールの画面に文字を打ち込みにこりと笑って暗い表情をしている花の方を見て尋ねる。
花は驚いたように目を大きく開いた。
花はまさか愛結が話してくれるとは思わなかったからだ。
“大丈夫!体力あるんだから!”と少し目に涙をためて告げれば、花は愛結のとなりに並び三人仲良く階段を上った。
「……ほんとに仲良くなれたんだな、よかった」
悠人が愛結に聞こえないくらいの声でぼそりと呟けばにこりと機嫌良く笑っている愛結を優しく見守った。
三人で上るとあっという間に神社についた。
神社ではすでに神が待ち構えていた。
「お友達っ……つれてきましたっ……これで、大丈夫ですか?」
きょとんと愛結が尋ねればこくんと頷き、次の瞬間神がにやりと気味の悪い笑みを浮かべて口を開いた。