愛結の隣に悠ちゃん
「ありがとうございましたー、またお越しくださいませー」
店員さんの声と同時に出てきた悠人。
すぐに悠人のもとへ駆け寄り財布を片手に悠人をじっと見つめる。
きょとんと悠人が首をかしげる。
「愛結、自分のはちゃんと払うもん!!いくらだったの?」
愛結が悠人に尋ねると悠人は首を横に振った。
「いいっていいって、愛結、俺にイチゴくれんだろ?それだけで十分」
「ふぇっ……でも……」
「いーんだって。早くいこ、あの神とか言ってる男いなくなるかもしれないし」
悠人が愛結の手を握り、愛結は嬉しそうににこりと微笑んで歩く。
「悠ちゃんっ、ここのシュークリーム美味しいんだよっ、神様もきっと喜ぶねっ」
「あぁ、そーだな。きっと喜ぶ」
悠人も嬉しそうにしてに愛結に言う。
来た道を引き返して二人で仲良く他愛ない会話をしながら神社に戻って行く。
「かーみーさーまーっ。甘いもの買ってきたよぉ!!」
「おおっ、おせぇよ。ほら、くれくれ」
神社の入り口に立って愛結が叫べば機嫌良く宙から足を浮かせて歩いてきたのは神。
鼻唄を歌いながら悠人の持っている袋を漁りショートケーキの方をとる。
「あっ……それ、愛結の……」
「あー?こっちのが旨そうじゃねぇか」
神が言えばパッケージを開けてショートケーキに目を輝かせる。
その姿に目に涙を溜め始める愛結。
「オイゴラ、てめぇのはこっちだよ!!」
そう言えば袋から取り出したシュークリームを神の開いた口に思い切り入れる。
神が噎せるがもぐもぐと噛んで食べる。
「なにしやが……っ、まあうめぇけど……」
神がようやくしゃべれる状態となり悠人に文句を言おうとした途端、飲み込み感想を素直に言う。
「はっ、ざまぁみろ」
悠人がべっ、と舌を出しそっぽを向く。