愛結の隣に悠ちゃん
二章:大嫌いな学校


「はぁ……」

ため息をつきながら重たい体を起こす。

「愛結、起きてるか?」

部屋にノックをして返事をする前に悠人が愛結の部屋に入ってにた。

休みの日は愛結が起きるのが早くて学校があるときは悠人が起きるのが早い。
愛結は学校が大嫌いなのだ。

「愛結、大丈夫……学校行こう?」

いつもより優しい声音でしゃがみこんで愛結の顔をじっと見つめながら頬を優しく撫でる。
愛結は学校に友達がいない。

「愛結、大丈夫……俺がいる。いつもみたいに屋上で二人でご飯食べよ?休み時間もいっぱい話そう」

悠人は愛結の手を優しく握り言う。
愛結はすごく泣きそうな顔をしている。
愛結と悠人は違うクラス。いつもそばにいてくれる人がいない教室というのは非常に心細いのだ。

「……休み時間、屋上で待ってる。俺のクラスは補習あるから……先いくぞ」

悠人がにこりと微笑んで最後に優しく頭を撫でると部屋からでて階段を降りる。

次もまたノックの音が聞こえる。

「愛結……大丈夫……?学校行く……?なんなら、お休みしますって電話するよ……?」

母が優しい声音で愛結に言う。
しかし、愛結はベッドから起き上がる。

「大丈夫っ、ちょっと昨日夜更かししたからお寝坊しただけっ、行くよっ」

いつものように明るい声音で言う。
いじめられているわけではない、ただクラスで浮いているだけ、大丈夫問題はないと自分に言い聞かせる。

クローゼットから制服を取り出した急ぎ気味に着替える。
自分には悠ちゃんがいる、悠ちゃんがいるからここまで来れたんだ。卒業まではあと少し、卒業したらもう就職先は決まっている。

早く、大人にならなきゃいけないもんっ……。




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