夜の女神
を睨みつけていれば。




「右ポケット」

「…は?」



それきり、上機嫌な様子でこちらに微笑む男を不審がりながらも女は指示されたポケットに 指先を入れて。



  「―――――…あ、……」

馴染んだ感触を取り出せば、見慣れたピアスが月明かりに姿を見せる。


「廊下で定期報告し合った時、無かったから探してやったんだよ」

「……」

「゙56分゙も待たせて悪かったな」






  それはある ”殺し屋” の男女の話






男はそれを奪い耳につけてやると、満足そうに笑みを浮かべた。

 
   「やっぱり、似合うな」


甘い、独占欲が耳元で鈍く輝いた夜だった。
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