監禁されることがお仕事です
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「雨音、ただいま。今日はシュークリームを。あれ?エクササイズしていなーーっ」
帰ってきた彼は私の姿を見るなりに、駆け寄って来た。
シュークリームを投げ出すほどの驚きは、私が泣いていたからだろう。壁にクリームついても意に返さない。
自分の命でも狙われているかのような焦燥ぶりで、彼はどうしたんだと繰り返す。
「も、もうエクササイズ出来ません、ひぐっ」
「なんで、あれだけ頑張っていたのに。やっぱり、俺以外の男を見るのが嫌だったのか。そうだよね、俺も思っていた。いくら映像とも言えども、筋肉をこれでもかと晒す男を網膜に焼き付けるのは嫌だよね。分かった、今度から俺が雨音のインストラクターになって、手取り足取り体触りでやっていくから」
盛大な勘違いに違いますと答える。
「きょ、今日、下の階の人が来て。『ドンドンうるさいから、やめてくれ』と言われました」
「……。そう。なら、下の階の奴がいなくなれば、雨音は泣かずに済むね」
「というのは嘘で、やっぱりマッチョなインストラクターが嫌になりました」
※嘘も真になる瞬間。