監禁されることがお仕事です
「あ、な、なんで……」
「会社、抜けて来た。彼女に大事があったと話して」
「会社がその程度の理由で退社を許すので!?」
インフルエンザでもマスクして出社しなきゃいけないご時世ではないのか!
焦燥する私に構わず、彼は私の買ってきた物を手に取った。
「買い物、楽しかった?一人での、買い物。俺がいなくても、楽しめた?」
ここで初めて、彼が怒っているのだと気付いた。
怒られるとは思っていた。勝手に外に出たから。それが遅いか早いかの問題で、こんな事態を想定し、すぐに謝罪をしてーー
「ねえ。何人の男に、君の姿を見られたんだ。こんなものを、買うためだけに!」
体が動かなかったのは、彼が買い物袋を壁に投げたから。
何もない場所。ケチャップや卵が袋から飛び出し、フローリングを汚した。
「なんで俺に言ってくれない。なんで分からない。どうして!どうして、この部屋から出るんだ!何が不満?何がいけない?何が足りない?あれほど出ないでと言った!君だって頷き、了承してくれた!だからこそ、手錠で繋がずに外側から鍵もかけずに、君を信じて、この部屋の中だけでも自由に出来るようしたのに、なんで!」
詰め寄る彼から、思わず距離を取った。
それが起爆剤となったらしく、無理に腕を掴まれ、寝室まで引っ張られた。