一途なあなたが好きでした
「良いん……ですか?」
「はい。是非私にやらせて下さい。お願いします」
頭を下げる瀬戸さん。
「そんなっ。こちらこそお願いします」
同じく頭を下げる私。
「お母さん!」
「晴菜……」
トイレに行っていた晴菜が私の膝の上に座る。
「お母さん。お兄さん、ピアノの先生なんだって。知ってる?」
「うん。知ってる」
「な~んだ……。知ってたんだ…」
「晴菜。そのピアノの先生が晴菜にピアノを教えてくれるって知ってた?」
「……えっ? 本当……」
「本当だよ。晴菜ちゃん」
「…………やった~!!!」
晴菜はそう言うと私の膝から飛び降り、瀬戸さんに抱きつく。
「良かったね~」
「うん」


晴菜に向けてるその笑顔に心の中のあなたがまた微かに揺れ。


そして……。



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