一途なあなたが好きでした
「今日はお招き頂きありがとう。西坂くん…じゃなかった。瀬戸くん」
「いえ。こちらこそ来て頂きありがとうございます。部長」
「素敵な家ですね。いいなぁ…。私も早く結婚してこんな家に住みた~い」
「おい、沖田! 結婚急かされてんぞ」
「えっ?」
「大変だな。こんな家建てるなら、一生働かないと……」
「ええっ!!」
「そんなに高くないですよ」
「高くないって…どれぐらいかかりました?」
「それは……」
「もう、夫を困らせないでよ」
「“もう! 夫を困らせないでよ~”」
「アハハ。似てる!!」
「部長、長沼くん達を叱って下さい!!」
「こら!! お前ら、気持ちは分かるが、からかうんじゃない!!!」
「部長~」
「「「アハハハハハ」」」
「ねぇ、お母さん。もう家に上がっちゃダメ?」
くだらない大人のやり取りを黙って見ていた娘の晴菜(ハルナ)が待ちきれなくなったのか私にそう聞いてきた。