群青色の、空を見上げて。


 ガコンという鈍い音がした。


 寝不足でふらふら歩いていたわたしが、電柱に思いっきり頭をぶつけたのだ。

 
「いったー……」


 電柱にぶつけた部分がひりひりする。電柱にぶつかるのはこれで何回目だろう。


 でも、恋する乙女の女子高生みたいで可愛いかも、とか、ちょっとした妄想に、



「犬が歩けば棒に当たる、ってわけか」


 
 という、非常に冷静な声が飛び込んでくる。



「佐賀!」


 
「おう、俺は佐賀だ。何か文句ある?」


 
 佐賀は、わたしよりもはるかに身長が高いから、わたしはいつも佐賀に見下ろされる形になる。



「いや……朝から佐賀を見るなんて、すっごい不幸だなー…と思っただけ」




「いやいやいや、そんなこと朝イチで言われる俺のほうが不幸だわ」


 
 いつもながらではあるが、こいつは口が達者だ。


 
「~~~ッ」


 
「あらまあ、怒らせちゃった」


 
 へらへら笑いながら、走り出す佐賀。



「待てーーッ!」

 
 
 佐賀を追いかけようとは思うのだが、寝不足のため、またしても電柱に激突。


 ……本日、これが四回目。 
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