群青色の、空を見上げて。

「天野の言い分もよくわかるが、佐賀がやたら張り切ってたぞ。今日の放課後ガイダンスを行う、とか言って。この前は図書館にも行ってたみたいだしな」


「……」


 くそぅ、やっぱり佐賀のせいだったのか。


 流石のわたしも、これ以上やもめ理科教師に反対する気にはなれず、すごすごと引き下がった。


 
 *  *  *



 現在23時10分。


 自動販売機で買った2本のカフェオレを手に、街灯の下で、佐賀を待つ。

 佐賀の自転車の後ろに乗せてもらって、オリオン座の観測場所へと向かうのだ。


 今は十二月の真っただ中。吐く息が白い。

 マフラーや手袋はしていても、冷気が体にまとわりつく。

 腕時計で時間を確認すると、もう、23時30分。


  
 携帯で佐賀に電話をしてみようと思ったとき、キーコキーコという古びた自転車の音がした。


 振り向くと、おんぼろ自転車に乗った佐賀がいた。


 
 よっ、と気楽に手を挙げる佐賀。

 
 次の瞬間、後ろに向かって転倒する。わたしの必殺アッパーをお見舞いしてやったのだ。


 
「なーにが『よっ』よ!わたしは20分もこんな寒いところで待ってたのよ!ほら、カフェオレも冷めちゃったじゃない!」


  
 そう怒鳴りながら、わたしはカフェオレを佐賀に投げつける。



「うおー、俺の一番好きなやつじゃないか!ありがと!」


 小さな子のように笑う佐賀。憎めない奴め。
 



 

 


 



 
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