走夜(第二回短編フェスティバル作品)
何時ものように、耳元で五曲目が終わりを告げた頃、展望台に着いた。

見晴らしのいい展望台から見下ろした光の粒は、所詮はそこに生きるちっぽけな人間達の自己主張に過ぎない。

それでも、ここから見た粒の大きさは変わらないのだ。

見上げた光も見下ろした光も。

多分、俺は心の奥底では願っているのだ。

必死で追いかけ続けることで、光へ近づき、それを得ることを。
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