離れても君に、大好きと。
姉しか見てない家族のお陰ですっかり人間不信になっちゃた私。
学校には行かないわ、居場所なんて病院しかないような私にも好きな人ができるなんて。
……そんなこと、思いもしなかったけどね。
「心羽、そろそろ俺行くな?」
その一言で我に返った。
私の馬鹿。
知宏のことばっか考えてたし。
棗の話をそっちのけにしていたことを少し反省する。
「うん。部活頑張れ!」
「おう! じゃーな」
そう言って使い古したスポーツバッグを肩にかけると、棗は帰っていった。