ドラマチック・ロマンス
ゆらゆらと夢を見ている。



小さい頃の伊吹と私が一緒にいて、この公園でケラケラ笑いながら遊んでいるんだ。




私が転んだら、伊吹が“しょうがねぇな”って私に手を差し伸べてくれて。



とても楽しそうで、ふたりとも大笑いをしている。



いつかの小学校のときも、似たことがあったなぁ。放課後にみんなでケイドロをして遊んでいたとき、伊吹と伊月が現れたんだ。


伊吹と伊月は双子で、私は二人のことを知っていたのに、伊月は私のことを知らなかったっけ・・・あぁ、懐かしい記憶だ・・・



すると今度は、子供だった私たちが、中学生になって行く。



中学のセーラー服を、学ランをそれぞれ着ていて、手を繋いだ。




照れくさそうに、お互いの顔なんて見ていなくて、恥ずかしそうにただ手を握りあっている。



中学生になった伊吹は本当にかっこ良くって、その日に喋れたらそれはもうすごい嬉しかった。中学生の頃に、もし告白とかしていたら、この夢のように手なんか繋いじゃう二人でいれたのかな。




そして、今度はまた姿が変わり始めて、今の私と伊吹の姿になった。




今の私と伊吹だ。



ぐっと伊吹は私の手を力強く握ってくれて、私の顔を覗いて目を見て優しく笑ってくれた。



よく伊吹がやる仕草。




“花菜”“花菜”




伊吹の声が近くで聞えた気がして、うとうとしながら、私はゆっくりと目を覚ますと、誰かによってふんわりと抱きしめられている。



大好きな人の香りがして伊吹だとすぐ気付く。




「・・・・・・伊吹?」




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