ドラマチック・ロマンス
「あのさ、可愛いことばかり言ってると、俺、わかんないよ?」



ただ二人、トンネルの中。伊吹は少しだけ私に近づいた。
私をただただ見つめる。



「・・・・・?」



そんなに見つめられると、どうしたらいいのかわかんないよ。 

私の髪よりきれいだろうと思うほど、綺麗な伊吹の黒髪。
その髪にふわっと手を置いてみた。



それに、私はそんなに可愛いくない。伊吹の方がなんとゆうか甘え上手なのかもしれないなぁ。





「触れられるなんて夢みたい。何度だって言ってしまう。けど、花菜に触れるなんて、夢みたい。」





伊吹が目の前にいるなんて、夢みたいだ。今までは、頭の中でしか考えるだけしかなかったけど、今は、こうやって、喋ったり、触れることが出来る。





「私たち、似てるね。」




いつか、伊吹が言ったセリフを言ってみる。


伊吹は、ちょっと照れたように鼻を掻いた。




「花菜・・」


伊吹は、私に顔を近づけて短いキスをしてくれた。



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