ドラマチック・ロマンス
音楽室に入ると鈴と目が最初に合い、鈴は私を見ると微笑んでくれた。


あれから、遊園地に戻った鈴は、みんなでパレードを見ていたと、昨日、将太が教えてくれた。


・・・鈴は、将太が好きって言っていたけど、将太は花音が好き?
中学生の恋って甘酸っぱくて、ちょっと不器用で、でも周りは誰かと誰かが付き合っているから、自分も・・・なんて安易な考えの人もいるだろう。



中学時代の私から、今の私を見たら、驚くだろうなぁ。だってこんなにも、未来は明るいんだ。失敗や葛藤だってあるけど、今の私は笑えているんだから、くよくよしなくていいんだよ・・・って一言でも伝えられたらなぁ。





それから私は、みんなに、分からないところを聞いたり、教えたり朝は早々と過ぎさって征く。




キーンコンカーンコン…………





「・・・・先生、ひとりで読んでくれる?」



「? なに、これ?」




あと5分で授業が始まるとき、一人の生徒が音楽室を出る私に声をかけてきた。
3年生かな・・・?
部活の生徒ではなく、掌にはおもむろに小さな掌サイズの手紙が握られている。



そして、私にそれを見せると、私を見る生徒の目が少し穏やかでない気がする。



「ラブレターだよ。」



「・・・ラブレター?」



「うん、ひとりで読んでよね。」




上履きの色がブルーだったから3年生の生徒だ。この学校は学年ごとに上履きの色が違うから。



その生徒から貰ったルーズリーフで器用に長方形に織られているその手紙を私は、職員室に戻る途中に開いた。


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