ドラマチック・ロマンス
そうしている内に、雨が鼻に微かに当たった。




遠くから、しばらく見ていると、花菜は一生懸命に生徒、一人一人と、アイコンタクトを取り、会話をしている様子が覗える。


もう、花菜は、弱くて泣き虫な花菜じゃないんだよな・・・



雨が降ってきて、生徒たちからはかったるそうな表情が見え隠れしている。
向こうの空は、晴れているのに、この場所はくもりかがって雨がぽつぽつと降ってくる。





「あ・・・・降ってきた。」





遠くの花菜の方を見ると、近くに若い背の高い男が近づいてきて、花菜に何か喋りかけている。


確か・・・・前に居酒屋での教師たちだけの歓迎回にいた・・・・星野って先生だ。



あいつ・・・・居酒屋の時も、花菜を気に入ってるようだった。



花菜もそいつも、空を見上げているから“雨が降って来ちゃいましたね”とかそんなところだろう・・・



次の瞬間、星野が何処からか手に持っていた傘を挿してて、花菜を中に入れた。
花菜は驚いて、傘から身を引いたけど、そいつは譲らずに、傘に花菜をいれた。



たかが雨なのに・・・去れど、雨。


花菜、そんなに照れたような視線をそいつに向けんなよ。
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