ドラマチック・ロマンス
「蝶野・・・」




蝶野は、花屋のドアに片手を着いて、もうひとつの手は腰に当て、夕日の光と共に現れた。


夕日と蝶野が、いい具合にミスマッチしている。


す、すげー・・・・



「久し振りね、イブッキー!花菜を泣かした罰は受けてもらうよ。」



少しお腹がデカくなった蝶野は、太い声を出した。



そういや、子どもが出来たって、花菜が喜んでいた。





「蝶野・・・相変わらずだな。」



「相変わらず、“花菜Love”でしょ。」




蝶野のセリフに、口角が上がる。蝶野は、中学時代からの俺と花菜の同級生。


花菜と蝶野は、親友。



「イブッキー、花菜の泣き顔見た?」




「え、あぁ。」




1週間まえの花菜のことか?



「花菜、泣いていても可愛かったわ。本当に、可愛いよね、花菜って。でも、笑っていたほうが花菜らしい。」



「あぁ・・・・」



蝶野って、花菜のこと好きだよなぁ。



「“あぁ”ってね!花菜が泣いてるのに、のほほんとしてるんじゃなわよ!」



「のほほんとなんか、してねぇ。花菜、教えてくれないんだ。」




「・・・・・花菜はね、イブッキーだから、言えなかったんだって。」



「俺だから?」



蝶野は、頷いた。






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