ドラマチック・ロマンス
「伊吹、私にキスしてくれない?」




「え?」




急に、私が言うもんだから伊吹は豆鉄砲を食らったような顔をして、私を見た。




伊吹に・・・星野先生にキスをされたことを、戸惑いながら言うと、なんと伊吹も、菅谷さんにキスをされた事実を教えてくれた。




「何やってんだろうな、俺ら。」




「本当にね。私・・・キスされたとき思った。私が生きてる一生は、伊吹のキスだけだなぁ~って思っていたのに、違っちゃったなぁって。」




私が、ため息をつくと、伊吹が嬉しい言葉をくれた。



伊吹がゆっくりと、手を繋いでくれる。




温かい。




「これからは、花菜をずっと独り占めできるから、キスされたのは、すげぇ嫌だけど。花菜は俺のだから、俺の花菜だから、俺には、花菜だけだから。」



「うん、私も伊吹だけしか、今も、昔も好きじゃないよ。」




私たちは、“道端で、何言ってんだろう”と笑い合った。



変わらない想いがある。



それだけで、明日もずっと前を向けるね。


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