ドラマチック・ロマンス
私は、私の家族が本当の両親じゃないことを知っている。


一歳になる頃まで、児童施設にいた私を引き取ったのが、今の両親。


もう物心、ついたときは今の家族の元で生活していたし、私も、今の父や母、以外に親とゆう存在は知らずに育った。


父も母も、ものすごく私を可愛がってくれる。
優しくしてくれるし、くだらない冗談だって言える。



私を、この歳になるまで大切に育ててくれた。


時には叱ってくれて、躾けてくれた。



だけれど、どこかココロの片隅には、まだポッカリ穴が空いているのに気づいている。



ーーーー私は、一度、捨てられたんだ。




その過去は消せないし、消えない。



本当の母親も知らない、父親も知らない私に、どう生きれば良いと言うんだろう。



消して、愛情を与えて貰っていない訳ではいないのに・・・



私は、私がどんな人間だか知りたいだけなのに。




ーーーー「亜子〜!」



一人、部屋でテレビを見ながらぼぉーとしていた私に聞き慣れた人の声が耳に良く聞こえた。



< 236 / 252 >

この作品をシェア

pagetop