ドラマチック・ロマンス
「うるさい」




部屋に、私の呟いたホコリみたいなセリフが消え去ると、圭太がまだ、ハア〜と大きくため息を立てる。



「・・・・何よ?」




圭太は、目を細めて私と目を合わす。




「分かんねぇんだな、愛されてるのが。」



圭太の言葉は、いつもストレートな事が多い。いつもは、私も聞き逃すけど、今のは、聞きながれもしなかった。




「でも・・・私は、一回・・」




「捨てられただ?」




私と、圭太の声が揃う。圭太は、なんで私相手に、こんな真剣に言うんだろう。



“何回も言うんじゃねぇ”と、圭太は優しいトーンの強さで、私の耳にジンジンとしそうな強さの傷みを与える。




捨てられたことは変わんないのに・・・圭太には、何もわかんない。




「おまえを、捨てた親だって、何かの事情があったかも知れない・・・本当は、離れたくなかったかも知れない。けど、そうせざるおえなかったのは、おまえに、生きていて欲しいから、だろ?」







< 238 / 252 >

この作品をシェア

pagetop