ドラマチック・ロマンス
「高校が決まってねぇって、どうすんの?」



圭太にまでそう言われ、私はちょっと躊躇する。
私にも、考えってもんがあるからだ。




「私、働くよ。」



「・・・亜子。」




お母さんは、そんな私にため息を付いて、私の目の前まで来て、ちょこんと座った。




「亜子には、ちゃんと高校に出てもらいたいのよ。働くのは、それからで充分。それに、あんた・・・働くって、どこか当てがあるの?」




お母さんに、聞かれ、ちょっと歯がゆくなる。

私は、ちゃんとこのお母さんの娘だよって伝えてるもんだから。



「うちの、惣菜屋に決まってるじゃん。人、足りてないんでしょ?だったら、私が・・・」




「亜子・・・」
  
 


うちの、惣菜屋は不景気だとお父さんがお母さんに言っていたのを思い出す。




「亜子、家のこと気にかけてくれたんだ?」



「まぁね・・・」



「お父さんも、お母さんも最近、淋しかったんだよ?亜子が、いつでも素っ気なくて、話しもしてくれないから。」



私は、素直に謝った。

お母さんは、柔らかく笑っていた。


< 242 / 252 >

この作品をシェア

pagetop