ドラマチック・ロマンス
「隆之介!」




実夏は、でかい口で笑いながら俺に走り寄ってきた。





久しぶり、とお互いにふわりと笑う。
毎年のあたり前のことだ。





実夏は、毎年帰って来る。おじさんや、おばさんに必ず会いに来る。じいちゃんにも会いに来る。


優しい奴だ。
すげぇ、優しい奴。




「昨日、帰って来たんだ。散歩してたら、懐かしくなったよ。
隆之介は、ここの先生なんでしょう、すごいなぁ。」




「別に凄かねぇよ。」




実夏は、俺を見て、いつも凄い凄いと褒めてくれるが、俺は、自分をそうは思えない。




「凄いよ! 私なんて、自分が嫌になることの連続だもん。」



実夏は東京で、アニメのクリエイターとして頑張っている。



「でもね、すぐに立ち直れるの。・・・・この、自然や、空気があるから、前を向いて行けるんだよね。」



実夏は、空気を吸うように目を瞑って、深呼吸した。
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