ドラマチック・ロマンス
もうすぐ、昼になるって頃にその男の子はやって来た。



「いらっしゃい。」



男の子は、俺に気付くと「こんにちは!」と元気に挨拶をしたので、俺も笑顔で挨拶する。




でも、今日は一人ではないらしい。




「姉ちゃんは、出さなくて良いから!俺、お小遣い貯めてあるし、出さなくて良いから!」



男の子の隣には、二つに髪を縛っている女の子がちょっと不機嫌そうに男の子を見ている。



姉ちゃんってことは、姉弟かぁ・・・



でも、ひとつ気になったのは、男の子が姉ちゃんに手話で会話してることだ。


姉ちゃん、耳聞こえないのか。




「(もう、姉ちゃん来なくて良いのに!)」




「(そうゆう訳にはいかないでしょ!」


手話は分からないが、男の子が時折言葉も付け加えてくれるので、だいだいはわかった。




「(ねぇ、お兄ちゃんはどう思う?)」


「へっ?」





男の子は、俺に意見をもとめてくる。話をふってこられるとは思わなかったから、間抜けな返事をしてしまった。


< 28 / 252 >

この作品をシェア

pagetop