ドラマチック・ロマンス
伊吹は、30分もかかる帰り道を送ってくれた。私は、自転車だから、乗らずに漕ぎながらだったけど。




手をお互いに振り、別れた私たち。伊吹の後ろ姿を伊吹が小さくなるまで見ていた。



伊吹と巡り巡って、再会して、私の世界は変わった。360度変わった。



いつも頭では、伊吹がいつもいるんだよ。




そして、家の中に入ろうとしたとき、足音が聴こえてきたと思い、私は振り向くと・・・




「伊吹・・・・?」




帰ったはずの伊吹が息を切らして、膝に手を当てて、呼吸をしている。




「花菜・・・あのな、俺な・・・」




大きく息を吸って吐いた伊吹は、ゆっくりと私を見る。私も同じように伊吹を見る。




「伊吹?」




「俺、今も、昔も、おまえが好きだから。それだけ言っておきたくて。それだけだから、それだけ・・・」




伊吹は、言うだけ言って、身体の向きを変えた。





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