ドラマチック・ロマンス
「ちょっと待って!」



想わす、伊吹の腕を掴んだ私は、それはもう必死だった。




「待ってよ、もう!!」



「え、花菜?」



伊吹が好き。好き。好き。私が、後ろからいきなり抱きしめたもんだから、慌てている伊吹。



「バカ、伊吹・・・・・」



「なんだよ、バカって~」



だって、こうゆうとき何て言ったら良いのか分からないんだもん。
背中から感じる背中の体温が熱い。



「言い逃げするから・・・」



「だって、恥ずかしいじゃん。」






「ねぇ、なんでコーチ引き受けたの?」




「んなの・・・決まってんじゃん。」




「なに?」




私が“なんで?“と聞くと伊吹は黙ったままだ。




「コーチを引き受けたのは、たまたまだし・・・・・ときに、花菜さん。」



「何ですか、伊吹さん。」



「なんで抱きしめてんの?」



こうなったら、伊吹を思いっきり抱きしめて、ぎゅうぎゅうっていっぱい抱きしめた。




「好きだからに決まってるからじゃありませんか。」


伝われ・・・伊吹に今の私の精一杯の想いが、伝わってほしいよ。



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