ドラマチック・ロマンス
花音ちゃんのお母さんは嬉しそうにお店に入って行く。




「(もう!しょーがないんだから!ねぇ、先生?)」






「え、うん。」




花音ちゃんが初めて私の顔を見てくれた。




花音ちゃんは、見るととてもかわいい。




咄嗟だったから、手話を使わないで頷いてしまった。




花音ちゃんは、私のこと嫌ってはいないんだろうか・・・・





「(あのさ!う〜んとね・・・)」





「(どうしたの?)」





花音ちゃんのくりっとした瞳が私を見る。





「(学校、行かなくてごめんね、先生。私、学校が嫌いなんじゃないの。自分が嫌いだから、学校にも行きたくないの。耳が一番嫌いなの。どうして、私は耳が聞こえないの?)」




どうして、聞きたいことわかってくれたのだろうか・・・



私は、『学校、来ないの?』って、あなたに伝えたかったんだ。


でも、その一言が出なくて、言えなかった。



悲しむと思ったんだ。





「(先生、泣いてるの?)」



手話がぼやける。




私は、泣きながら花音ちゃんを抱きしめていた。



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