【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「……それ、反則」
拓磨くんは手で顔を覆った。
「へ?」
「……アンタのそういう態度、なんかムカつく」
「え!?」
む、ムカつくって……なんで!?
「俺だけ調子狂わされてんのムカつく。ほんとアンタの無自覚には呆れる」
私が拓磨くんの調子を狂わせてる……?え?
いやいやいや!!!
「逆に私が調子狂わされてばっかりだよ!しかも無自覚って意味わかんないし!」
拓磨くんに優しくされたり、イジワルされたり、その度に調子狂わされてるし……。
それに、自分がドジなこともバカなこともそれなりに自覚して生きてるもん!
「いっつも、拓磨くんばっかり余裕で……ズルい」
私はいつも惑わされてばっかりで、いつも拓磨くんのペースに乗せられてるもん。
「……余裕なんていつもねーよ」
「え?」
拓磨くんがつぶやいた言葉は私の耳にちゃんと届かなかった。