【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「どうしよう……私……っ」
私……拓磨くんを傷つけてしまった。
よく考えてみれば、そうだよね。
拓磨くんの気も知らないで、拓磨くんの気持ちに土足で踏み込んで……。
最低だな、私。
「う、うぅ……っ」
どうしたら……私の気持ちは伝わったのかな?
拓磨くんにとって私の気持ちは、迷惑だったのかな?
拓磨くん……ごめんね。
私、本当に最低だ……。
謝って許されることじゃないけど、明日謝ろう。
そうすればきっと拓磨くんもわかってくれるはず。
「…………」
私は制服の袖で涙を拭うと、駅に向かった。
そして、久しぶりに1人で電車に乗った。
1人ってこんなに寂しかったっけ……。
最近ずっと拓磨くんと一緒だったから、わかんないや……。
電車に揺られて、窓の外を見つめる。
電車から見える景色も、電車内の人の多さも、いつもと変わらないのに……。
今日ほど、下校時間を寂しいって思ったことはないと思う。