【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
そんなある日だった。
祐輝と一緒に食堂でうどんを食べていた。
「珍しいな、拓磨が食堂で飯食うなんて」
「今日はそういう気分だった」
「ふぅーん?」
明るい茶髪に大量のピアス、着崩した制服。
俺はやっぱり目立つようで、俺の両隣と、俺と一緒に食べているからか、祐輝の両隣にも誰も座らない。
そして俺の横を通るたびに色んなヤツがジロジロ見てくる。
まぁ、もうこんなの中学のときから慣れてるけど。
今さらなんとも思わない。
すると、ある1人の女子が俺の近くにやってきた。
「葵ちゃん!ここ空いてるよー!」
その女子は俺の隣の席と、祐輝の隣の席を指して言った。
「えっ……そこはやめておこうよ……」
俺を見たその女子の友達は、ゲッとした表情で言う。
「えぇ、いいじゃん!この席のなにがダメなの?あ、もしかして机がちょっと汚れてるから?それならあとでフキン持ってきて拭いてあげる!」
「あのね、そういう問題じゃ……」
「じゃあ葵ちゃん、ここで待ってて!フキン持ってくるから!」
……なんだコイツ。
角度の関係で顔は見えなかったけど、俺に気づいてない?