【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「どうして抵抗するの?むしろ、好きだった俺とキスできるんだもん、喜ぶべきじゃない?」
「こんなの……っ、みんなの知ってる星司くんじゃないよ……!」
私の知っている星司くんは笑顔も心もすっごく優しくて。
でも、もう今の星司くんにそんな面影は一つもない。
「みんなの知っている俺?そんなの、ただのウソの塊でしかないよ。女って単純でバカで哀れな生き物だよね、ほんと」
星司くんは奇妙にククッと笑う。
「ひ、ひどいよ……」
「ひどい?騙される方が悪いんだよ、そんなの」
「そんな……っ」
「さてさて、早速キミの唇をいただいちゃうね?」
ニヤッと笑うと、星司くんは私にどんどん顔を近づけてくる。
や、ヤダ……。
拓磨くん以外の人とキスなんて。
絶対にしたくない……!
「や、やめて……っ!」
数ミリで唇が重なるというときだった。
バンッ―――