【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
第3章
キミのぬくもり
「へぇ、矢野拓磨もやるじゃん」
「へへ、拓磨くんすっごくカッコよかったんだぁ~」
「ノロケるなっ!」
次の日、私は葵ちゃんに昨日のことを話した。
星司くんの正体も、拓磨くんと両思いになれたってことも、助けてもらったってことも。
「で、葵ちゃんはどうだったの?」
「え?」
「多田くんと放課後デートしてたんでしょ?」
「……は!?あんなの放課後デートじゃないっての!ただクレープ食べにいっただけ!」
私の問いかけに葵ちゃんは顔を真っ赤にして、慌てて否定する。
ふふ、葵ちゃんってば可愛いなぁ。
見ててこっちが幸せになるよ。
「もう、葵ちゃん照れちゃって~!昨日、熱いキッスしたじゃん?」
すると、どこからやってきたのか、多田くんが葵ちゃんに抱き付く。
「はぁ!?ウソ言わないでくれる!?」
「葵ちゃんこそ、ウソはダメだよ?葵ちゃんのほっぺについてたクリームを取るために俺がチュッてしたら、顔真っ赤にしてたくせに~」
「し、してない!!!」
……ダメだ。
完全に2人の世界に入り込んじゃってる。
この間に私は拓磨くんの席に……。
と、立ち上がって拓磨くんの席に向かおうとしたとき、誰かに肩を掴まれた。