【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「ひ、ひいぃ……!」
振り返ると、そこには昨日私に居残り掃除をやらせてきた先生がいた。
先生の表情は笑顔だけで明らかに目だけ笑っていない。
あ、そういえば私……掃除、途中放棄しちゃったんだっけ。
ま、マズい……。
「あ、あの……」
「桐野、お前いい度胸してんだな?」
「じ、実は昨日、急用が入りまして……」
「あっそう?じゃあ今日も昨日に引き続き、居残り掃除頼むな?」
「え、えぇー!!!?」
任せたぞ、と私の肩をポンとたたくと、先生は教室を出ていってしまった。
う、ウソでしょ。
あぁ……もう私のバカ。
バカバカバカ。
信じられないよぉ……。
「はぁ……」
ため息をつきながら、机に伏せて眠っている拓磨くんの前の席に座って後ろを向く。
「拓磨くん」
「…………」
呼びかけても、拓磨くんは全く起きる様子がない。
次は指で手をツンツンしてみる。