【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「ん……」
眠そうに目をゆっくり開いてパチパチさせる。
そして私の指をギュッと掴んだ。
か、可愛い……!
なにこの可愛い拓磨くんは……!
「ねむ……」
体を起こして伸びをする。
その姿にもまたキュンとする。
起き上がった拓磨くんの右目の下には絆創膏が貼ってある。
昨日、星司くんと殴り合いしたときに出来た傷だ。
幸い、ケガはそれだけだったから先生に目をつけられなくて済んだ。
星司くんは今日、学校に来ていない。
「拓磨くん、傷、痛くない?」
「あぁ、これぐらい平気だよ」
「た・く・まー!!!」
すると、ものすごい勢いで多田くんが拓磨くんの後ろから抱き付いた。
「……おい、気持ち悪いから抱き付くな」
「なんだよー心配してきてやったのにぃ」
「あ?お前の心配なんていらねぇよ」
「ふふ、もう照れちゃってー!」
多田くんは拓磨くんをまたぎゅううっと抱きしめる。