【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?





「あーっ!もう!離れろ!」



「えー仕方ないなぁ」



ぶつぶついいながら拓磨くんから離れると、



「ふふ、美憂ちゃんにいいこと教えてあげよっか?」



と、にやっとした。



「いい、こと?」



多田くんは手招きすると、私の耳元に顔を近づけた。



「拓磨ってね、怒ったときもそうなんだけど、たいてい口が悪くなるときは照れてる証拠なんだよ」



「え!?」



そういえば、拓磨くんがカイロくれて、お礼を言ったとき……。



『……別に、いらないからあげただけだし』


『あの……顔赤いけど、熱でもあるんじゃ……』


『うるせぇな。熱なんてねぇよ』



口調、変わってた。



あのときは怒らせちゃったかもって怖がってたけど、もしかして、あのときは照れてたの……?
< 238 / 350 >

この作品をシェア

pagetop