【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「あーっ!もう!離れろ!」
「えー仕方ないなぁ」
ぶつぶついいながら拓磨くんから離れると、
「ふふ、美憂ちゃんにいいこと教えてあげよっか?」
と、にやっとした。
「いい、こと?」
多田くんは手招きすると、私の耳元に顔を近づけた。
「拓磨ってね、怒ったときもそうなんだけど、たいてい口が悪くなるときは照れてる証拠なんだよ」
「え!?」
そういえば、拓磨くんがカイロくれて、お礼を言ったとき……。
『……別に、いらないからあげただけだし』
『あの……顔赤いけど、熱でもあるんじゃ……』
『うるせぇな。熱なんてねぇよ』
口調、変わってた。
あのときは怒らせちゃったかもって怖がってたけど、もしかして、あのときは照れてたの……?