【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「拓磨くん、私と同じ町に住んでるって……」
「あぁ、そんなこと言ったっけな」
「ウソついてたの!?」
「だって、そうでも言わないと美憂、遠慮するでしょ」
し、知らなかった。
毎朝拓磨くんが私のために始発に乗ってきてくれてたなんて。
「これからは学校の最寄り駅で待ち合わせにしよ!毎朝始発って、キツイでしょ?」
毎日早起きなんてしてたら、体がもたないよ。
拓磨くんが倒れるなんて、絶対にイヤ。
「別に自分が好きでしてるだけだから、気にすんな。もう慣れたし」
「で、でも……」
「美憂ちゃん、ワガママ言っちゃいなよ!ワガママ言えるのは、彼女の特権だよ?」
彼女の……特権。
「ほんと、美憂は色々遠慮しすぎ。もっとワガママ言えよ」
「じゃあ今度拓磨の奢りでみんなで飯行こうよ!」
「祐輝は黙ってろ」
「しょぼーん……」
多田くんはガクンと肩を落とす。