【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
動き出す過去【拓磨サイド】
「はーい、じゃあまた月曜日、元気に登校するように」
帰りのHRが終わり、教室に担任の声が響く。
「美憂、帰るよ」
「あ……ごめん。私、今日居残り掃除しないといけないんだ。もしあれだったら、先に帰ってていいよ」
申し訳なさそうに言う美憂。
「じゃあ俺も手伝う」
「え、でも……」
「美憂と一緒に帰りたいし」
美憂って、ほんと変なところで気つかうよな。
祐輝の言った通り、彼女なんだからもっと甘えていいのに。
「うん!じゃあちゃっちゃと終わらせて帰ろう!」
「おう」
下駄箱に行くと、美憂を待ち構えているように仁王立ちをした先生がいた。
「桐野、今日逃げたら承知しないからな?」
「わ、わかってます……」
「じゃ、終わったら報告よろしく」
目が笑っていない笑顔を向けると、美憂の肩をポンと叩いて去っていった。