【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
もう一度……母親に会いたい。
俺はふと、そう思った。
ケータイを取り出し、さっきもらったメモに書かれた電話番号に電話した。
プルルル―――
『はい』
「あの……拓磨、だけど」
『あぁ、どうしたんだい?』
「俺……母親と会うよ」
『……本当に?』
父親は驚いた様子だった。
「あぁ。母親に会いたいんだ。もう一度……」
『そっか。じゃあまたお母さんの予定を聞いたら、連絡するよ』
父親との電話を切ると、俺は再び目を閉じた。
母親……母さんは、元気にしているんだろうか。
ずっと、夢に見た母さんとの再会。
俺の過去が時間を超えて、動き出した。