【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「……ってことだったんだ」
拓磨くんの話を聞いて、私は涙が出そうになった。
拓磨くんのお母さんは1人で色々なことを抱え込んでいたんだ……。
そして拓磨くんは捨てられてなんかいなかったんだ。
ちゃんと……ちゃんと、愛されていたんだ。
嬉しさや切なさがこみ上げてきて、頭がごっちゃごちゃになる。
「それから……母親にも会うことになった」
「え……!」
「まだ、日にちとかは決まってないけど……母親と俺の都合の合う日に」
私は嬉しさで拓磨くんに抱き付いた。
「よかった……っ、よかったね、拓磨くんっ!!」
「あぁ」
嬉しそうに微笑む拓磨くんに、私もまた嬉しくなる。
ようやく、拓磨くんにも幸せが舞い降りた。
止まったままだった過去が……動いたんだ。
「ったく、なんで美憂が泣いてんの」
思わず涙が出てきて、拭っても拭っても止まらない。