【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「明日は1人で帰らなきゃいけないのかぁ……」
拓磨くんがお母さんと会うということは、一緒に帰れないってことだもんね。
寂しいなぁ……。
学校から家は結構距離があるから、余計にツラい。
いつもは拓磨くんと一緒だからそんなに距離を感じないけど。
―――ブーブー。
すると、制服のポケットでケータイが震えた。
ディスプレイを確認すると、葵ちゃんからだった。
……あっ、そういえば。
この間の放課後……私と拓磨くんがデートした放課後、多田くんは葵ちゃんに告白しようとしたんだっけ。
でも確か、結局言えなかったっていうのを多田くんから聞いた。
で、今日リベンジするんだって言ってたけど……もしかして……!?
慌てて葵ちゃんとのメッセージの画面を開く。
するとそこには……。
《美憂、聞いて。私、多田くんと付き合うことになったよ》
そう、書いてあった。
そのメッセージを見た途端、喜びで手が震える。
やった……!
ついに多田くんと葵ちゃんが結ばれたんだ……!
《葵ちゃん、おめでとう!ちゃんと自分の気持ち、言えたんだね!》
震える手で頑張ってそう返事した。