【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
「そ、そんなぁ……お願い!ね?」
「無理です」
即答した葵ちゃんに残念そうに下を向く。
「……よし!決めた!」
顔を上げた多田くんの表情はキリッとしていた。
「葵ちゃんに認めてもらえるように、俺、頑張るから!」
「え?」
「葵ちゃん、よろしくね!」
真っ直ぐに葵ちゃんを見つめる多田くん。
そんな多田くんに葵ちゃんはため息をついた。
「それはそうと、美憂ちゃん、ビックリしたでしょ?」
「え?」
「拓磨だよ、拓磨!アイツが授業受けるなんてビックリだろ?」
「うん……ビックリしすぎて言葉が出なかったよ……」
なんていうか……驚きと焦りと恐怖が同時にきて、混乱した。
だってまさかあの拓磨くんが授業に出るなんて、思いもしなかったんだもん。