【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
拓磨くん……そういうことだったんだ。
私こそ、ごめんね。
なにも気づいてなかった……。
手紙を握りしめ、職員室に滑り込んだ。
「先生!!!」
担任を見つけると、大声で呼び止めた。
「どうしたんだ?そんな慌てて……」
「先生……拓磨くんが転校するって……本当なんですか?」
「……あぁ、本当だよ」
……やっぱり、そうなんだ。
拓磨くんはどこかへ行っちゃうんだ……。
先生の言葉にやっぱり、と思う反面、焦りが出てくる。
「どこに……どこへ行っちゃうんですか!?」
「確か……大阪って言ってたかな」
大阪……そんなの、ここから新幹線でも3時間以上はかかる……。
拓磨くんがそんな遠くに行っちゃうなんて私、知らなかった……。
どうして、なにも言わずに行っちゃうの……?
「今日、9時の新幹線で行くって言ってたよ」
「……え!?本当ですか!?」
もう、今日行っちゃうの?
この街から出ていってしまうの?