【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
最寄り駅まで全力疾走で向かう。
最寄り駅の方から自転車や徒歩で来る生徒とすれ違う。
ジロジロ見られるけど、今はそんなことを気にしていられない。
はやく行かないと……間に合わない。
最寄り駅の線はわりと本数が少なくて、不便だ。
どうか、電車ありますように……!
「はぁ……っはぁ……っ……」
駅につくと、ちょうど電車がやってきたところだった。
慌ててポケットから定期券を出すと、改札を通った。
『1番乗り場、ドアが閉まります。ご注意ください–––』
ドアが閉まっちゃう!!!
私は思い切って、ドアに向かって飛び込んだ。
私が入った瞬間、ドアが閉まり、ホッと肩をなでおろす。
「はぁ……」
よかった……間に合ったぁ……。
駆け込み乗車なんて初めてだったから、死ぬかと思った。
この電車に乗れてなかったら絶対に間に合わなかった。
はぁ、よかった。
窓の外で流れる景色を見つめる。
どうか……どうか、間に合いますように……っ!
神様、拓磨くんに会わせてください。
お願いします……!!!
私の心臓はバクバクと鼓動の速さを増した。