【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
一度は母親なんて大キライだ、なんて思ったけど……でも、真実を知れて、もう一度出会えて、本当によかった。
席に座って俺はココアを注文すると、母親と目を合わせた。
「拓磨……見ない間に男らしくなっちゃって……お母さん、ビックリしちゃった」
「母さんは……変わらないね」
写真の中のまま、優しい温かい笑顔の母さんだった。
「そう?拓磨と離れる前よりもずいぶんオバサンになったと思うんだけど」
少し恥ずかしそうに頬に手を当てる母さん。
その仕草もなんだか懐かしく感じる。
「そうそう、あの話……考えてくれた?」
母さんの切り出した話に、俺は少し眉をひそめた。
数日前、父親から届いたメール。
《お母さんが、もう一度拓磨と一緒に暮らしたいと言っている。今度お母さんに会うまでに考えておいてくれるか?》
そのメールを見た瞬間、俺は一緒に暮らしたいって思った。