【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?
着いたのはひと気の少ない屋上だった。
屋上に入ると、拓磨くんは腰を下ろした。
私も少し距離をおいて隣に座った。
「購買行ってくる」
「う、うんっ」
拓磨くんは立ち上がって屋上を出ていった。
「はぁ……あ、葵ちゃんになにも言わずに来ちゃった……」
葵ちゃん、今頃私を探してるかもしれない。
よし、拓磨くんが購買に行っている間に言いにいこう。
屋上を出て、私は早歩きで教室に戻った。
教室に入ると、葵ちゃんは多田くんと話していた。
「ねぇ、葵ちゃん!一緒にごはん食べようよ~」
「イヤです」
「お願い!一生のお願い!」
「絶対ヤダ」
多田くん、葵ちゃんにめっちゃお願いしてる……。
……あ、そうだ!