【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






振り返るとそこには……。



「み、ゆう……」



……大好きな、美憂がいた。



なんで、美憂がここに……!?
新幹線の時間とか教えてないはずなのに……。



「美憂、お前なにして……っ」



「拓磨くんのバカッ!!!」



美憂は大声で叫んで、涙を流した。



「拓磨くんのウソつき……大ウソつき!!!」



「……っ」



「こんなこと書かれたら……拓磨くんのこと、忘れられるワケないじゃん……バカぁ……」



そう言って、美憂は俺の書いた手紙を見せた。



そう、俺が手紙の最後に書いた事実。
それは……。



***


そしてもう一つ、ウソをついた。


俺は……本当は美憂のことが好きだ。


美憂のことをキライになんてなれるワケがない。


俺は世界で一番、美憂のことが好きだ。


これからもずっと。


でも、美憂より母親を選んでしまった俺のことなんて、忘れて。
美憂にはきっと俺よりいいヤツがいる。


サイテーな彼氏でごめん。


矢野拓磨


***
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